あれは3年ほど前のことだったでしょうか。

身体の悪い母親をなんとか元気にさせるために、
必死になっていた時期がありました。

あるときは健康に良さそうな食べ物を食べさせてみたり、
またあるときは鍼灸院に通わせてみたりして、
あれやこれや僕なりに考えてやっていたワケですが、
そのときは母親と喧嘩をすることが多く、僕はいつも
「こんなに頑張ってるのに、どうしてこっちの気持ちを
分かってくれないんだ」とイライラしていました。

自分の言う通りにしてくれれば、今よりも元気に
なれるのに!

元気になればもっと楽しく自由に生きられて幸せに
なれるのに!

当時の僕はこれを信じて疑わなかったワケです。

しかし僕の気持ちとは反対に、母親を元気にさせるために
僕が頑張るほど、母親との関係は悪くなっていきます。

あれをしろ、これはダメなどと僕が言い続けているうちに、
お互いのイライラは積もっていきました。

やがてその気持ちが爆発し、「もう勝手にしろ」と思った
そのときのことです。

勝手にしろ、と思った瞬間は感情的になっていて
気付かなかったのですが、ふと我に返った瞬間に、
僕はある重大なことに気がつきました。

僕の考えていた母親の理想と、母親が考えていた理想は
違ったんじゃないか。

母親は別に無理してまで元気になりたいだなんて
思ってなかったんじゃないか。

そう思ったのです。

僕は身体の悪い母親を見て、「勝手に」母親の理想を
決めつけていました。

直接「どうなりたいの?」と聞いたワケでもないのに、
勝手に頑張って、勝手に押しつけて、勝手にイライラして、
そうやって関係を悪くすることで、むしろ母親を不幸に
していたワケです。

このことに気付いてからは無駄に母親と喧嘩することも
なくなりました。

身体は悪いままだけど、今はもう「そういうものだから
仕方がない」と思っています。

生まれつきの障害だと思えば、なんともありません。

これは単なる僕の一例に過ぎませんが、人間関係のもつれや
コミュニケーションの齟齬というのは、自分の勝手な思い込み、
つまり自分の前提と相手の前提の違いに気付けないことによって
起こるのです。

 

昨日話した思考の解像度は、このことにも関係しています。

恋愛関係であれ親子関係であれ人とモノとの関係であれ、
関係と名のつくものにはすべてお互いの前提があり、
その前提が噛みあうことでその関係が成り立っています。

仕事ができない人や常識はずれな人と関わって
イライラするのは、その人の思考の解像度が低いからに
他なりません。

一人一人、前提は違って当たり前なのに、彼にとっては
万人が自分の前提と同じじゃないと嫌だし、僕が母親に
理想を押しつけたように、その前提こそが正しいと
思い込んでいるワケです。

これがいくところまでいくとイスラム国やナチスのように
なります。

彼らは極端に思考の解像度が低く、世界をイスラム国的に、
またはナチス的にしか見られなくなっています。

だからそうじゃないものはすべて自分たちの「正義」を
邪魔する「悪」に見えるのです。

個人の小さな喧嘩から国家間の大きな戦争まで、
すべてはコミュニケーションの齟齬、前提の無理解、
思考の解像度の低さによって生まれてきます。

尖閣諸島や竹島の問題だって、悪いのは中国や韓国では
ありません(それらの問題を「作った」国があります)。

でも、ほとんどの日本人は中国や韓国を憎んだり
蔑んだりしているし、それを正しいと思っている。

「私たちが正しい場所に花は咲かない」という有名な言葉が
ありますが、思考の解像度が低いままだと、その「正しさ」が
量産されてしまうということです。

それによって世界がどうなるかは言うまでもないでしょう。

恋愛のように、自分が失恋して悲しむだけで済むなら
いくらでもそのままでいればいいと思いますが、
その解像度の低さは周りにとっても大きな迷惑であり、
自分だけの問題で済まされるようなことではないのです。

 

無理に難しい本を読めとは言いません。

言いませんが、われわれは今のままでは有害な生き物なのだ
ということを忘れないでください。

どんなやり方であれ、思考の解像度を上げる「責任」が
われわれにはあるということです。

われわれは自分のためではなく、世界のために成長しなければ
なりません。

世界のために自分らしく生き、自分の才能を開花させなければ
なりません。

その自覚だけが、真の成功や幸福を約束してくれるのだと
僕は思います。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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