消費税の増税を目前に控えて、さらに追い打ちをかけるかのように
軽自動車税の増税が決まりました。

一応消費税が10%になった際に軽減税率を導入することは
決まったようですが、それによって減ってしまう税収を補うために、
また何か別の負担が増えることは間違いないでしょう。

しかし、今のような状況で、このような政策を行うことは、
素朴に考えても、そして歴史的に見ても、大きな誤りです。

日本の歴史だけを見ても、経済がヤバイ時期というのは何度も
あったワケですが、その時期に年貢負担を増やした藩はほぼ必ず
崩壊しています。

まあ当たり前っちゃ、当たり前ですよね。

武士の生活がヤバイということは、農民の生活はもっと
ヤバイのであって、そんなときに農民からより多くの年貢を
巻きあげようとすれば、農民の生活はたちいかなくなって
年貢はどんどん減っていく。

ただそれだけのことです。

ただそれだけのことなのですが、こういう誰でも分かりそうな
当たり前のことに、当時の武士のほとんどが気付かなかったのも
事実です。

というよりも、そういう発想がなかった、と言った方が正しい
でしょうか。

彼らは「いかに自分たちの生活をそのまま維持するか」ということ
だけを考えていたため、農民の生活を豊かにすることによって
年貢を増やし、自分たちの生活も同時に豊かにする、という発想が
なかったのです。

いやー、面白いもんですね。

考えていることも、やっていることも、どこかの政府と瓜二つだと
思いませんか?

 

そこで登場するのが二宮尊徳です。

彼が活躍したのは、まさしく今話したような経済がヤバイ時期でした。

各藩が多額の借金を抱え、それに加えて飢饉がたびたび発生して、
餓死する人がたくさん出た時期に、彼が指揮をとった村では
誰ひとりとして餓死する人を出さず、それどころか他の村に作物を
恵んでやる余裕さえあったのです。

彼のやったことは恐ろしくシンプルです。

彼は最初に村や藩の役人に

「農民の生活が安定するまで、農民の年貢を免除しろ」

「あんたらも今は贅沢をやめて、今の年貢に見合った分相応の
生活をしろ」

と言って農民の負担を軽減させました。

そして、その約束を取りつけた後は自ら村の開墾や公共工事
(橋の建設など)を手伝ったり、村人のやる気が出るように
頑張って働いている村人に報奨金を出したりしました。

彼がやったのは、たったこれだけです。

まとめると、尊徳は

1.収入(税収)に見合った生活をする
2.収入(税収)が自ずと増えるような工夫をする

という2つだけをやったことになります。

アベノミクスの政策は一応2の工夫に当たりますが、
尊徳が重要視していたのは、1の「分相応の生活をすること」
すなわち「分度をわきまえること」です。

彼はこの最初の条件が守れないならば、村の復興は手伝わないと
頑なに言っていました。

というのは、どれだけ農民を鼓舞しても、手元に残る収入が
保証されなければ彼らの生活は一向に楽にならず、すぐにやる気が
失せてしまうことを知っていたからです。

働いても働いても年貢で持っていかれてしまう。

これではやる気が出なくなるのも当然でしょう。

やる気が出なくなれば労働は非効率になり、労働が非効率になれば
米の収穫は減り、米の収穫が減れば納められる年貢は減り、
納められる年貢が減ればまた年貢の負担が大きくなる。

尊徳いわく、この悪循環から抜け出すには、村や藩の役人たちが
分度をわきまえることが絶対の条件だったのです。

 

彼の言った通りにして、分度を守ったところは経済危機を
逃れることができました。

しかし中には素直に言うことを聞かず、

「なぜわれわれ武士が我慢して、農民を気遣わなければならんのだ」

と言って尊徳の言うことに逆らい、復興に失敗したところも山ほど
あったのです。

尊徳ほどの偉大な人間がいても、トップに立つ人間が愚かだと、
こういう悲惨なことになります。

今起こっていることも、まさにこれと同じではないでしょうか。

税収が少ないならば、その少ない税収でもやっていけるような
政策を考えるべきなのに、そういう柔軟なことは一切考えず、
今ある社会保障を無理やり維持しようとする。

これこそが、今われわれが向き合わなければならない問題だと
思うのです。

これは政治家だけの問題ではありません。

年金や生活保護や健康保険など、税金の恩恵にあずかっている
国民全員が考えるべきことです。

年金を減らされるのがイヤなら、せめて健康に気をつけて
医療費の負担を減らす努力をすべきでしょうし、生活保護費を
下げられたくないなら、せめて自分が所属している自治体での
買い物を心がけ、自治体の税収に貢献することを考えるべき
でしょう。

平気で病気になって、平気で毎日病院に通って、平気で他府県の
安い商品ばっかり買っている人間に、税金に対する文句を言う
資格はありません。

先程「トップに立つ人間が愚かだと」と言いましたが、
われわれのトップは総理大臣ではなく、われわれ自身です。

なぜなら、今の日本では主権は国民にあるからです(主権在民)。

つまり、国民全員の質(民度)をあげないことには、
どれだけ実力のある人がいても、今ある根本的な問題は
解決しないということです。

 

今われわれが目を向けなければならないのは、政治家の愚かさや
官僚の狡猾さではありません。

そういう根の腐った人たちを自らの意志で選び、野放しにして
しまっているわれわれ自身の無力さにこそ、目を向けるべき
なのです。

今の時代に尊徳がいたとしても、きっと彼は復興を手伝っては
くれないでしょう。

彼は自分一人の無力さをよく理解していました。

だからこそ、官民(武士と農民)一体となって、みんなが
協力し合う態勢になるまでは、手を差し伸べなかったのです。

だとすれば、今どこかに隠れている実力者にも、同じことが
言えるのではないでしょうか。

彼らはひっそりと身をひそめ、自分のやるべきことだけを
やっています。

しかし、われわれ一人一人がやる気を出し、団結しさえすれば、
そのときにはきっと、彼らも表に出てきて、力を貸してくれる
でしょう。

 

国の問題は、われわれの問題です。

なぜ国は増税しなければならなくなったのか。

なぜ国の税収は落ち込み、支出は増加しているのか。

その内訳は何なのか。

どうすれば少しでも国や自治体の経営が楽になるのか。

これらを真剣に考えたり調べたりすれば、自分にもできることが
あるということは、すぐに分かると思います。

ネットショップで買うのか、地元のスーパーで買うのか。

現金で買うのか、クレジットカードで買うのか。

こういった何でもないように思える違いが、積もり積もって
国や自治体に負担をかけているのです。

もっともっと「自分は普段何をやっているのか」ということを
詳しく知ってください。

まずはそこからです。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

ブログで公開しているのは全メルマガ記事の3分の1程度です。

すべての記事を読みたい場合は下のボタンをクリックして
メルマガ『脱凡人のすすめ中級』にご登録ください。

登録後は、ブログ未公開記事を含むバックナンバーが
届くようになっています。

メルマガ登録はこちらをクリック