今、STAP細胞が世間を賑わしています。

生後一週間の若いマウスから採取した血液細胞にストレスをかける
(弱酸性の液に30分ほど浸して刺激を与える)と、細胞が若返る
(万能細胞になる)という、今までの常識では考えられないことが
実験で証明されたワケですが、それをやってのけたのが30歳の
若い女性だということが、賑わいに拍車をかけているようです。

30歳と言えば、僕とタメですからね。

悔しいやら情けないやら誇らしいやら、複雑な気持ちです(笑)

まあ僕の個人的な感情はともかくとして、この話題からわれわれが
学べぶべきことはたくさんあります。

なぜ最近やたらと「女性」が話題にのぼるのか。

なぜ理系女子(リケジョ)は企業に人気なのか。

女性研究者が大きな結果を出したのは偶然なのか。

仮にこの結果が必然だったとしたら、それはどのような原理に
よるものなのか。

パッと思いつくだけでも、これぐらいのことが学べるワケですが、
今回は敢えて「女性」の部分には触れずに、彼女が思いついた
ユニークな実験方法について考察を深めていきたいと思います。

 

彼女がやった実験は、若いマウスから取り出した細胞に何らかの
ストレスをかける、というものです。

彼女はこの実験方法を植物やイモリなどの特性から思いついたと
言っています。

「植物や爬虫類で起こるなら、哺乳類や人間でも同じことが
起こるんじゃないか」

そういう素朴な疑問から始まったそうです。

それが最終的に今回のような偉大な結果に至りました。

つまり彼女は、植物や爬虫類に起こることは、哺乳類でも
(現段階ではネズミのみですが)起こる、ということを証明した
ワケです。

 

世間ではまったく話題になっていないのですが、このことは
われわれに重要な考え方を提供してくれています。

物凄く単純化して言えば、

「アイツにできるなら俺にもできるはずだ」

という考え方です。

この理屈が同種間のみならず、異種間でも成り立つということを
彼女は証明してくれました。

ただ勘違いしてはいけないのは、これは一般に認識されているような
「科学的」な考え方ではないということです。

科学というのは本来、目の前にあるものをただただ細かく精密に
分析するのが仕事で、彼女のように他の分野から類例を
引っ張ってきて、それを自分の分野で応用しようという発想は
皆無です。

間違っても、爬虫類と哺乳類を同等に扱うようなことはしません。

それは科学者の主要な考え方であるダーウィンの進化論を見れば
明らかなように、哺乳類よりも爬虫類の方が「劣っている」と見る
習慣が染み着いているからです。

そんな劣ったものを、優れたものに当てはめようとは思わない
ですよね?

われわれが「未開民族」から学ぼうとしないのは、どこかで彼らを
劣っていると思っているからに他なりません。

彼女の凄さというのは、この科学者的(近代的)なパラダイムを
抜け出して、アルケミスト、つまり錬金術師的なパラダイムを
採用したところにあるのです。

 

錬金術師とは、主に中世末期にマクロコスモス(宇宙)と
ミクロコスモス(人間)の「相似」を研究していた人たちのことを
指します。

一般には彼らは鉛から金を作り出そうとしていた変人だと思われて
いますが、それは彼らの建て前であって、本音の部分は違います。

彼らはキリスト教会の弾圧から逃れるために、鉛から金を
作り出そうとしているキチガイのふりをして、裏でこっそりと
マクロコスモスとミクロコスモスの相似関係を研究していたのです。

相似という言葉は、数学の授業で習ったと思います。

僕も厳密な定義は覚えていませんが、簡単に言えば言葉通りで、
相対するものが似ているということです。

同種間であれば基本的にはほぼすべてが相似していますし、
異種間でも動物であれば目が2つあるとか、口が1つあるとか、
血が流れているなどの部分は相似しています。

つまり錬金術師的なパラダイムとは、何かを細かく分析するよりも、
何と何が似ているのかを調べるということであり、もっと言えば、
異種間にはいくつもの面で相似関係があって、そこから学べることが
山ほどあるということを前提とした営み全般を指すのです。

 

このパラダイムに立つならば、僕は以下の仮説にもかなりの
信憑性があるのではないかと思います。

もし哺乳類(人間を含む)から切り離された細胞がストレスによって
万能化するならば、人間そのものも、自身の属する社会から
切り離して何らかのストレスを与えれば万能化するのではないか、
という仮説です。

これは人間の細胞と人間社会の相似に焦点を当てています。

細胞にもある種の社会があって、それぞれの細胞はそれぞれの
場所でそれぞれの役割を果たしています。

もし肺が心臓と同じことをしようとすれば、その社会(人間)は
すぐに死んでしまうでしょう。

同様にして、われわれにはわれわれの役割があって、例えば僕が
毎日コンビニのバイトをし始めたら、僕のコミュニティ(社会)は
一瞬で消えてしまうはずです。

このように細胞の役割と人間の役割が相似していることを考えれば、
細胞に起こることは人間そのものにも起こる(アイツに
できるなら俺にもできるはずだ)と考えるのは自然なことだと
思います。

問題は、じゃあ現実はどうなのか、ということです。

 

結論から言うと、今僕が言ったことは現実に起こっています。

例えばあなたが日本を離れ、誰ひとりとして知り合いのいない
未知なる異国へ旅立ったとしましょう。

これが「社会から自分を切り離す(マウスから細胞を採取する)」
の部分です。

異国へ到着したあなたは、良かれ悪しかれ、精神的に大きな
ストレスを感じるはずです。

それはワクワクする気持ちかもしれないし、頼れるものが
自分しかいない不安な気持ちかもしれません。

いずれのストレスであれ、このストレスはわれわれをある種の
万能な生き物へと変化させます。

いや、むしろ万能にならざるを得なくさせる、と言った方が
正しいでしょうか。

頼れるものが何もないワケですから、どんなことでも自分一人で
乗り越えられる万能人間になるしか生きていく道はありません。

万能になれなかった者には死あるのみです。

そのままその異国に居座れば、徐々に万能である必要は
なくなっていき、その異国での役割が与えられます。

また万能のまま日本に戻ってくれば、それはそれでその人には
活躍の場が与えられ、やがて万能さはなくなるでしょう。

海外で活躍している日本人なんかは、みんなこんな感じだと
思うのですが、どうでしょうか。

 

マウスの実験でも、万能細胞になれなかった細胞はほぼすべてが
死にいたります。

誰でも彼でもストレスを与えれば万能になれるワケではない、
ということです。

それは人間も同じで、海外に行った日本人が全員凄いヤツに
なれるワケではありません。

当たり前のことですね。

こういうことが見えてくれば、今度は人間社会で起こることを
細胞に応用することも視野に入ってくるでしょうし、細胞間で
起こることが自然界でも起こっている、なんて発見も徐々に
増えてくるでしょう。

錬金術師的な発想というのは、それぐらい大きな可能性を秘めた
次の時代のメインとなりうるパラダイムなのです。

 

小保方さんの本当の凄さは、科学と錬金術の融合にあると言って
間違いありません。

彼女はまさに現代によみがえった「魔女」です(笑)

メディアでは表面的なことばかりが報道されていますが、
こういう側面にも気付けるようになってくださいね。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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