ども、ペスです。

用事で東京に行ったついでに、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館に
寄ってきました。

ここはゴッホの『ひまわり』を持っている美術館として非常に有名ですね。

画家の友人が入選したということで、本当は損保ジャパン美術賞展をメインに
見に行ったのですが、僕の心はすっかり『ひまわり』に奪われてしまいました。

そんなワケで、今回は展覧会の作品と『ひまわり』を比べながら、つれづれなるままに
感想などを話してみようと思います。

 

ゴッホの『ひまわり』はシンプルで何の目新しさも派手さもない作品です。

描き方にそれほど特徴があるワケでもなく、下手ではないですが、決して上手い
作品とも言えません。

上手さだけを評価するならば、『ひまわり』よりも上の作品は山ほどあります。

しかし、それらの上手い作品は「上手いだけ」の作品であることがほとんどです。

職人技と言えば響きはいいですが、それは売り物としての価値を高めることには
繋がっても、芸術としての価値には繋がりません。

損保ジャパン美術賞展にも上手い作品はいくつかありました。

僕が見に行ったときは山田千冬という作家の『モッコウバラの木の下で』という
技巧的な作品におばさん2人がやたらと感心していましたが、この作品も技巧的には
確実に『ひまわり』より上です。

非常に細かい表現で、だれがどう見ても上手い。

ただ、この作品もやはり「上手いだけ」なのです。

だったら下手な絵がいいのかというと、そういう意味ではありません。

僕が言いたいのは

何事もバランスが大事である

ということです。

 

『ひまわり』の素晴らしさは、絶妙なバランスにあると言って間違いないと思います。

各ひまわりの向き、ひまわりの大きさ、色の選択、描き方、技術など、それぞれが
調和している。

なにをもって調和しているかは定義できません。

というか、それが定義できるなら、誰だって『ひまわり』が描けます。

調和とは結果論です。

ベートーベン然り、モーツァルト然り、ダ・ヴィンチ然り、ラファエロ然り、
結果として素晴らしい作品はすべて調和しています。

調和を別の言葉で言い換えるなら、

適切なところに、適切なだけ、適切な仕方で、適切なことが詰め込まれている

という感じでしょうか。

もちろん「適切な」というのも結果論でしかありません。

つまり、試行錯誤を繰り返してバランスを取り続けることでしか調和は生み出せない
ということです。

この際に頼りになるのは自身の感覚のみです。

自分が「これが適切である」と判断したものが、すべての結果を生むワケですから、
本人があらゆる意味で適切な人間(バランスの整った人間)でなければならないのは
当然です。

バランスの崩れた生き方をしている偏った人間には、偏った作品しか生み出せない。

僕はそういう当たり前のことを言っているにすぎません。

 

多くの作家はこの点をおろそかにしています。

コンビニの弁当やカップラーメンばっかり食って、マンガばっかり読んで、
世間のことに関心をむけることなく、ただひたすら作品だけを良くしようとする。

そんなのはどだい無理な話です。

作品は自己を投影します。

どれだけ見た目を上手くみつくろっても、絶対にバレます。

「絵を描いてるだけだから勉強しなくていい」なんて思っていたら大間違いです。

下らない人間が描いた絵は、どうあがいても下らないのです。

 

今回の第一回損保ジャパン美術賞には1200以上の応募があったそうです。

そのうち入選したのは数十作品。

そしてその中で僕が「そこそこいいな」と思ったのは4つ程度で、それ以外はボツ。

これだけ作家がいながら、これだけ競争が激しいにもかかわらず、その程度の
作品しか生まれてこない現実が、ここで僕が言ったことを物語っています。

偉大な絵を描きたければ、偉大な人間にならなければならなりません。

これは画家に限った話ではなく、誰にでも当てはまることです。

偉大な結果を出したければ、偉大な人間になるのが先です。

このことは絶対に忘れないでください。

 

追伸1:『ひまわり』について。

もしあなたがまだ『ひまわり』を見たことがないなら、ぜひ東京まで行って
この絵を見てほしいと思います。

あなたの感性が死んでいなければ、きっと大きな感動を得られるはずです。

あのひまわりは生きています。

これは比喩ではありません。

僕にはひまわりの脈拍が見え、鼓動が聞こえました。

偉大な人間になるためにも、偉大なものを知っておきましょう。

 

追伸2:第一回損保ジャパン美術賞展について。

参考までに、僕が「そこそこいいな」と思った作品を2つほど挙げておきます。

1つは優秀賞に選ばれていた永原トモヒロ『無題 12-02』、もう1つは
ムカイヤマ達也『retort』という作品です。

評価基準は色々あると思いますが、僕の基準はその絵に動きが見えるかどうかです。