最近アマゾンやアップル、グーグル、フェイスブック、
ツイッターなどが税金の安い国に本拠地を置いたり、米国にしか
税金を払わなかったりしながら、各国で税金逃れをしていることが
問題になっています。

アマゾンの商品がやたら安いのはそれが理由だったりするワケですが、
これらはどれも税制の抜け道をたくみに使っているだけであって、
脱税でもなければ、違法行為でもありません。

見方によっては、彼らがそういう努力をしてくれているお陰で、
その分だけわれわれは安く商品を買うことができる、という言い方も
できるでしょう。

実際、アマゾンで売られている商品の多くは日本の最安値であり、
グーグルやツイッター、フェイスブックで提供されているツールの
ほぼすべてが無料であることを考えれば、彼らは一般消費者の
ヒーローとも呼べるワケです。

しかし、物事には必ず表と裏があります。

安さや便利さが表だとすると、その裏には安易さや依存、
つまり消費者に頭を使わせず、そのツール無しにはいられない
ようにさせる、という面があるのです。

 

あるモノを安いという理由だけで買うとき、その人の思考は
停止しています。

高いモノに対して「なんでこんなに高いんだろ?」と思うことは
よくあると思いますが、安いモノに対して「なんでこんなに
安いんだろ?」と思うことは少ないはずです。

うちの親や叔母もよく「安かったから買ってきた」と自慢げに
話をするのですが、ここに何かしらの思考が働いているとは、
とても思えません。

これはトートロジーのような言い方になるのですが、あるモノを
安いという理由だけで買う人たちは、そもそも思考が停止している
人たちだから、何も考えずに安いモノに食いつくということです。

そしてまた安いモノを(頭を使わずに)安いという理由だけで
買うことによって、さらに思考が停止していく。

これぞまさに凡人の悪循環です。

同様にして、あるモノを便利だという理由だけで使うとき、
その人の能力はみるみる低下していきます。

便利とは、負荷(ストレス)が少ないということですから、
それに頼った分だけ人は楽な生活ができるようになります。

フェイスブックに頼っていれば、遠くの友人や知人にわざわざ
電話をかけたり会いに行ったりしなくてもいいし、グーグルに
頼っていれば、地図が読めなくても道を教えてくれる。

こうして人は退化していくワケです。

 

ここで僕が懸念しているのは、冒頭で挙げた巨大企業が、
安さや便利さ「だけ」を提供していることです。

彼らは凄く頑張っていて、だからこそ今のような地位になって
いるんだけれども、彼らが提供しているものは、長期的には
消費者やユーザーに不利益をもたらすことになります。

なぜなら、彼らには消費者やユーザーを「育てる」とか
「一緒に成長していく」という視点が欠落しているからです。

彼らはただ単に安いモノや便利なモノを提供することが、
いいことだと思っています。

だから支払う税金を最小限に抑えるやり方で、ビジネスを行って
いるワケですが、それはズレています。

仮に商品が多少高くなったとしても、お世話になっている国には
ちゃんと税金を支払わなければなりません。

それが「人として」の礼儀だからです。

自分たちはその国で稼がせて頂いているのだから、その国が損を
するようなことをすべきではない。

こういう理念を前面に出せば、今より商品が高くなったとしても、
客数そのものは減ったとしても、長期的な利益は今よりもグンと
上がります。

だって素朴にカッコイイじゃないですか、そういう企業って。

この理屈ではない、感情を揺さぶるような魅力が、
顧客と「一緒に成長していく」企業には不可欠なのです。

 

顧客と一緒に成長し、顧客と共に歩む企業であるには、
顧客に応援される企業でなければなりません。

サッカーの日本代表を応援するファンのように、自社のことを
顧客自身のことのように思ってもらわなければならない。

なぜなら、それが「一緒に」「共に」ということだからです。

そのためには顧客が憧れるような魅力が必要です。

その魅力は決して安さや便利さからは生まれません。

アマゾンをカッコイイと思ったことありますか?

そういう単純なことです。

カッコイイ企業、応援される企業には必ず魅力的な、
もう少し具体的に言うと、顧客がその企業についていきたく
なるような理念があります。

例えばウィキペディアの理念なんてのは分かりやすいですね。

「知」という人類の偉大な財産を全世界で共有する。

これに多くの人が共感しているからこそ、ウィキペディアは
寄付だけで存続できるワケです。

ウィキペディア(企業)の質が向上するほど、閲覧者(顧客)の
得られる利益も増え、その結果として、ウィキペディアにはまた
たくさんの寄付が集まるようになる。

魅力的な企業は、このように顧客との相乗効果を生み出すことで、
顧客と共に成長していくことができるのです。

 

顧客の立場からも、応援したいと思う企業から商品を買うことが
重要です。

先程も言ったように、安さや便利さ「だけ」で買い物をしている
うちは、思考が停止していると思ってもらって間違いありません。

しかし「応援したいから買う」ということを意識し始めると、
その企業のことをもっと知る必要が出てきます。

誰だって怪しい企業を応援するのはイヤですからね。

日本代表が裏でステロイドを打ってたら、応援なんてしたく
ないでしょ?

でも真面目に真摯にやっていることが分かれば、もっともっと
応援したくなる。

つまり、応援する気持ちが強くなるほど、人はその企業を詳細に
知ろうとするし、知る必要が出てくるワケです。

するとどうなるか。

そう、顧客は頭を使わざるを得なくなります。

ホームページを調べてみたり、商品に使われている原材料を
調べてみたり、宣伝文句の誠実さを確かめたり、そういうことを
自主的にやるようになる。

その結果、素晴らしい企業ほど素晴らしさが顧客に伝わり、
不誠実な企業ほど不誠実さが顧客に伝わることによって、
素晴らしい企業だけが生き残っていく、まともな世界が
出来上がっていくワケです。

めでたし、めでたし。

 

企業としては応援されることを、顧客としては応援することを、
われわれは意識しておかなければなりません。

スーパーで商品を買うとき

「自分はこの商品を作っている企業や、このスーパーを
応援したいだろうか?」

ということを考えてみてください。

企業に勤めていたり、自分でビジネスをやっている場合は

「自分は応援したくなるような商品を作っているだろうか?」

「自分は応援したくなるような魅力的な企業(人)だろうか?」

ということを考えてみてください。

たったそれだけのことを毎日続けるだけで、1年後には
驚くほど(人としても企業としても)成長していますから。

侮っちゃダメですよ。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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