ども、ペスです。

前回は途中から話がそれてしまったので、
あらためて「リアルジャパネスク」について書きたいと思います。

こちらの展示では1970年代・80年代生まれ、
つまり僕と同世代の方々の作品がところ狭しと並べられていました。

作品は立体の造形物や本、絵画、空間、動画など多種多様で、
いかにも現代アートな世界観がそこに表現されています。

しかしながら、この「いかにも現代アート」という言葉は一般に
あまり良い意味で使われることがありません。

われわれが現代アートという言葉を使うのは、主に(皮肉的に)
理解できない最近の作品に対してなのです。

芸術の定義上、その作品がわれわれ一般人の理解の域を
超えていること自体は何ら悪いことではないと思います。

むしろ、なんでもかんでも容易に理解できるようなものは、
それこそ芸術として文化的価値がないということになるでしょう。

けれども、それが次世代的な表現だから理解できないのか、
単に意味のない表現だから理解できないのかでは、
まったく意味が違うワケです。

そして、ここの判断が作品を見る上で最も難しいと言っても
過言ではありません。

だからこそ画廊のオーナーや学芸員というのは、
これを見分ける目を鍛える必要があるワケですが、
その見分ける能力の無い人に何の解説もなくそのまま現代アートを
見せるというのは、かなり無茶なことではないかと思います。

つまり、現代アート・現代美術を展示するならば、
現代アート・現代美術とはなんたるかを一時的にでも
定義しておいてやるのが展示する側の優しさではないのか、
ということです。

真に新しい美術作品とは一体どういう作品のことなのか。

ここで選んだ作品は何がどう新しいのか。

最近の日本現代美術の動向とは一体何を指すのか。

リーフレットで使われているこれらの言葉の意味ぐらいは、
どこかに書いておいて然るべきではないでしょうか。

 

正直に言いますが、リアルジャパネスクで展示されている作品の
いくつかについては、僕にはゴミにしか見えませんでした。

ゴミという表現が極端すぎるなら、廃材もしくは紙切れ、
とでも言いましょうか。

これは別に悪意があるワケではなく、素直にそう思ったのです。

展示されている場所がたまたま美術館の中だからかろうじて作品だと
認識できますが、その辺の道端に置いてあったら、普通に無視して
通りすごすと思います。

下手をすれば邪魔だとすら思うかもしれません。

何の解説もなく現代美術を一般人に見せるというのは、
それぐらい危ういことだということです。

デュシャンの『泉』だって、そう解説されなければ誰が見たって
単なる便器なワケですから、その解説があって初めて、
作品が立ち現われてくると言えます。

であるならば、解釈を見る者に委ねる、なんてのは甘えでしか
ありません。

特に現代美術においては尚更です。

そもそも現時点で現代美術を評価することなんて出来ないのですから、
可能ならその点もどこかに示しておいてやるのが親切だと思います。

「理解できなくて当然なんですよ」、「分からないことを楽しむもの
なんですよ」的なことを見る前に教えてあげれば、見る側も安心して
楽しむことができます。

日本人は自分の無知をさらすのが恐くて言えないことが多いですが、
みんな作品の意味なんて分からないんですから、言っちゃえばいいんですよ。

「意味わかんねー」って。

そしたら気楽に作品が見られるようになりますから。

真剣な顔して作品を見ている人も、心の中では「わかんねーなー」って
思っています。

そんなことを言うのが恥ずかしいから声に出さないだけなのです。

そういう意味では子供の方がよっぽど気軽に現代美術を楽しめるような
気がします。

 

実は僕も、この記事が出来上がる前はアレコレ小難しいことを
考えていました。

反資本主義的な思想がどうのこうの、ブーバーの<我-それ>の関係が
どうのこうの、そういったことを書くつもりだったんですが、
途中でバカらしくなってやめました。

多分、現代美術はそういう風に見るものではありません。

どっちかといえば「ああかもしれない、こうかもしれない」と
思いを巡らせ、「結局なにも分からない」という着地点に落ち着くのが
正しい楽しみ方なんじゃないかな、と。

なぜか分からないけどずーっと気になってる。

そういう片思いの始まりのような関係を続けることが、
現代美術の楽しみ方なのかもしれません。

 

追伸:

またしても個々の作品に関する話が抜けてしまったので、ここで補足です。

と言ってもあんまり話すことはないんですが、個人的には泉太郎氏の
動画作品と五月女哲平氏のキュビズム的な絵が印象に残っています。

いや、インパクトで言えば入口を入ってすぐの貴志真生也氏の作品が
一番なのですが、好みで言えば前者2人かな、と。

感想は特にありません。

というか、あっても言いません。

気になるなら自分の目で確かめて下さいませ。