・・・1週間後・・・

ピンポーン。

亮太「はーい」

英二「ちぃーっす」

多恵「ちぃーっす」

亮太「また来たのか」

英二「そりゃ来るさ」

亮太「多恵もかぁ」

多恵「私じゃ悪いぃ?」

亮太「いいえ、とんでもございません」

英二「それじゃ上がらせてもらうぞ」

亮太「いつも強引だなぁ」

多恵「お邪魔しまーす」

 

英二「で、調子はどうよ」

亮太「ぼちぼ・・・完璧に決まってんじゃん」

英二「ふーん」

英二と多恵はにやけている。

多恵「あのさぁ、今日って夜まで時間ある?」

亮太「普通そういうのって来る前に聞くもんだろーよ」

英二「気にしない、気にしない」

多恵「で、時間はあるの?」

亮太「ありますよぉ、そりゃもうたっぷりと」

亮太は半ばやけになっている。

英二「そりゃよかった、じゃあ今日は本番といきますか」

亮太「う、え、本番って?」

英二と多恵は顔を見合わせてクスクス笑っている。

何やら悪だくみを考えているらしい。

多恵「ちょっと待っててね」

そう言うと、多恵は一人で部屋を出ていった。

しばらくすると部屋のチャイムがなる。

ピンポーン。

亮太「はーい」

亮太がドアを開けると、そこには多恵とはじめて見る女の子が
立っていた。

亮太「う、あ、え?」

亮太は動揺を隠せない。

多恵「へへーん、びっくりした?」

多恵は嬉しそうだ。

多恵「紹介しまーす、私の幼馴染の友恵ちゃんでーす」

友恵「あ、あの、今日は多恵ちゃんに呼ばれて、その、あ、
友恵です、よろしくお願いします」

亮太は何がなんだか分からない。

亮太「え、あ、あの、じゃあ、とりあえず、あがってください」

その様子を見て英二は部屋の隅で笑いをこらえている。

亮太はなんとか冷静になろうと必死だ。

友恵「は、はい」

部屋にあがる多恵と友恵。

 

英二「いやぁ、おかえり」

多恵「なんとか連れてきたよ」

英二「うん、ありがとう」

友恵「あのー、私ってなんでここに来たの?」

英二「え、多恵ちゃん、友恵ちゃんに事情話してないの?」

多恵「いやぁ、説明しようとは思ってたんだけど、
なんか考えてたら面倒臭くなっちゃって、とりあえず強引に
連れてきちゃった」

英二「さすがだなー」

英二は笑っている。

亮太「俺にもちゃんと事情を話せよ」

英二「まあまあ、落ち着きなさいって」

多恵「そうそう」

二人の息はぴったりだ。

英二「んじゃまずは自己紹介をしましょうか」

英二「俺は英二で、1週間前から多恵ちゃんと付き合ってます」

亮太「うぉ、マジかよ」

英二「見てたら大体分かるでしょうよ」

亮太「いや、なんとなくそんな気はしてたけど、
もう付き合ってるとは思わなかったよ」

多恵「私のことはみんな知ってるから自己紹介はパスね」

多恵「ほんじゃ、次は友恵」

友恵「あのー、えーっと、多恵ちゃんの幼馴染の友恵です、
多恵ちゃんとは幼稚園から中学校まで一緒でした」

多恵「友恵とは昔っから仲良しなんだよねー」

友恵「う、うん」

英二「じゃあ最後は亮太だな」

亮太「あ、亮太です、多恵は大学のテニスサークル仲間で、
英二は中学のときの同級生です」

多恵「テニスは私より下手っぴなんだよねー」

亮太「そんなマイナス情報はいらないだろ」

多恵「おっと失礼」

多恵はノリノリだ。

 

英二「じゃあ本題ね、今日はここで2対2の合コンをやります」

友恵「合コン!?」

亮太「嫌な予感が当たったー・・・」

亮太は頭を抱えている。

多恵「って言っても、私と英二はもう付き合ってるから、
実際は二人のお見合いだけどね」

友恵「ちょ、ちょっと多恵ちゃん、そんなの聞いてないよ」

多恵「大丈夫、大丈夫、私が付いてるから」

友恵「そういう問題じゃなくってぇ」

多恵「そういう問題だって、気にしない、気にしない」

友恵「もう、困るよぉ、心の準備もできてないのにぃ」

多恵「出会いなんてのは突然起こるものなのよ」

一方頭を抱えたままの亮太は。

英二「おい、大丈夫か、亮太」

亮太「大丈夫じゃ・・・大丈夫に決まってんだろ!!
めちゃくちゃ嬉しいよ」

亮太の顔は笑っていない。

英二「そうだろう、そうだろう」

英二は内心大爆笑だった。

英二「それじゃあ、はじめましょうか」

 

最初はどうなるかと思われたが、亮太と友恵が同じ小説家の
小説が好きだということが分かってからは、2人の会話は
自然と盛り上がっていった。

亮太「へー、そうなんだぁ、じゃあ『ピクニックの朝』は
読んだことある?」

友恵「うーん、それはまだ無いかなー」

亮太「あれも凄く面白いから絶対読んだ方がいいよ」

友恵「そっかぁ、また本屋で調べてみるね」

亮太「あとは・・・そうそう『熱帯夜』は知ってる?」

友恵「・・・ちょっと喉乾いちゃった、多恵ちゃん一緒に
コンビニいかない?」

多恵「うん、私も喉乾いたし行こっか、英二と亮太は?」

英二「俺らは部屋で待ってるから、適当に水かお茶でも
買ってきて」

多恵「はいはーい」

多恵と友恵が部屋を出る。

英二「おい、亮太」

亮太「ん?」

英二「お前ちゃんと友恵ちゃんのこと見てたか?」

亮太「え?楽しく会話できてたじゃん」

英二「なんも分かってねーな、本当に楽しかったらいきなり
飲み物を買いに行くなんて言い出すワケないだろ」

英二「はっきり言うけどな、友恵ちゃんはもう小説の話には
かなり前から飽きてたんだよ」

英二「いくら好きなことだって、そのことばっかり話してたら
飽きてもくるし、何よりお前は相手の話を聞こうともせずに
自分の話ばっかりしてただろ」

亮太「そんなことないって、ちゃんと話振ってたじゃん」

英二「それはお前が興味のある話題を振ってただけだ」

英二「友恵ちゃんは自分が話したい話題を振ってほしいんだよ」

亮太「そんなこと言われても分からないよ」

英二「だったら探れよ」

英二「自分の話に夢中になる気持ちは分かるけど、
もっと相手のことを考えて、相手を観察して、相手の気持ちを
察しないとモテるようになんてなれないぞ」

亮太「うーん」

亮太は顔をしかめている。

英二「まだなんとかなるから、友恵ちゃんが帰ってきたら
友恵ちゃんの反応をうかがいながら、まだ聞いてないことを
いろいろ質問してみろ」

英二「そうすればどこかで突破口が開けるはずだから」

亮太「うん、分かった」

 

友恵と多恵が帰ってくる。

多恵「ただいまー」

英二「おかえりー」

多恵と英二はアイコンタクトをとっている。

どうやら友恵の方は多恵がなんとかしてくれたようだ。

亮太「さっきはごめんね、なんか俺ばっかり喋っちゃって」

友恵「ううん、そんなことないよ、気にしないで」

ここで亮太は友恵が珍しいピアスをしていることに気がついた。

亮太「そういえばそのピアス、カワイイ形しているね」

友恵「あ、これ?自分で作ったんだよ、これ」

亮太「マジで!?」

友恵「昔から手芸とか編み物とかそういう手作りのものが好きで、
欲しいものがあったら何でも自分で作っちゃうの」

多恵「私のこのネックレスも友恵が作ってくれたんだよ」

英二「そりゃ凄いね」

亮太「あ、手芸と言えば、俺の気に入ってたシャツのボタンが
ちょっと前に取れちゃったんだけど、もしよかったらボタンの
付け方教えてくれないかな?」

今までの亮太なら決してこんな積極的な発言はしなかったが、
今の亮太は必死に別人になろうとしていた。

友恵「うん、いいよ」

友恵「私が直してあげようか?」

亮太「本当はそう頼もうかと思ったんだけど、俺もボタンぐらいは
自分で直せるようになりたいし、あと、教えてもらった方が
一緒の話せて楽しいだろうから、自分で直そうかな、って」

亮太は凄くドキドキしている。

友恵「そ、そっか」

それを聞いた友恵も少しドキッとしたようだ。

そこから亮太はさらにいろんな話題を友恵に振ってみた。

旅行のこと、中学や高校の部活のこと、昔の多恵のこと、
映画のこと、好きな食べ物のことなど、そういった話題を
振っていくなかで、自然と亮太が友恵の話を聞く割合の方が
多くなっていった。

 

・・・夕方・・・

英二「随分と盛り上がっておりますなぁ」

亮太「まあね」

多恵「そろそろ私たちは帰るけど、友恵はどうする?」

友恵「じゃあ私も」

友恵が帰ると言う寸前に、亮太が割って入る。

亮太「よかったら俺が晩御飯作るから食べてかない?」

そこへすかさず英二が助け船を出す。

英二「前に作ってもらったチャーハンはホントに美味かったよ、
友恵ちゃんも絶対食っといた方がいいって」

英二「味は俺が保証します」

多恵「せっかくだし作ってもらいなよー」

多恵も亮太をサポートする。

友恵「でも、なんか悪くない?」

亮太「全然悪くなんかないって、遠慮しなくていいから」

友恵「そっかぁ、じゃあもうちょっとお邪魔させてもらおうかな」

多恵「うん、それがいいって」

多恵と英二は嬉しそうだ。

多恵「そいじゃ私たちはこの辺で」

英二「じゃあな」

亮太「うん、二人ともありがとう」

友恵「ありがとう」

英二と多恵は手を繋いで帰っていった。

亮太「さーて、作りましょうかね」

友恵「なんか手伝うことある?」

亮太「じゃあ肩でも揉んでもらおうかな」

友恵「えー」

亮太「冗談だって、ゆっくりしててよ、すぐにできるから」

二人はすっかり打ち解けていた。

そしてこのときの亮太は、もう今までの自信のない亮太では
なくなっていたのだった。

つづく。

 

【教訓】

何でもそうですが、自信ができてからやるのでは遅いです。

ビジネスをしっかり学んでからビジネスをやる。

英語をしっかり学んでから海外に行く。

それは凡人の典型的な発想であり、そういうリスクを取らない
方法では、われわれはいつまで経っても成長できません。

自信や実力をつけたいなら、それらがなかったとしても、
とにかく始めてしまうことです。

そうすれば自信や実力は勝手についていきます。

自信がないからやらないのではなく、自信がないからこそ
さっさと始めて少しでも早く自信をつけるのです。

小さな成功体験も大事ですが、たまには大胆さも必要です。

器のデカイ人間になりたいなら、器のデカイ行動を
起こしましょう。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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