これはある架空の人物の物語です。

英二「あ、もしもし?今日の合コンって何時からだっけ?」

亮太「19時だったと思うけど」

英二「そっか、さんきゅ、じゃあまた後で」

亮太「え、それだけかよ」

プー、プー、プー。

亮太「相変わらずせっかちだな、アイツは」

亮太「まあいいや、俺もさっさと準備して出かけよ」

・・・合コン会場の飲み屋・・・

亮太「まだ誰も来てないのかぁ」

亮太がスマホを見ようとした瞬間、横から女性が声をかけてきた。

テニスサークル仲間の多恵だ。

多恵「お、さすが几帳面男子、早いねー」

亮太「そういうお前こそ」

多恵「まあねー」

亮太「他の女の子たちは?一緒じゃないの?」

多恵「みんな用事があるらしくて、私だけ先に来ちゃった」

亮太「ふーん」

多恵「そっちこそ、他の男子は?」

亮太「知らない、そのうち来るんじゃない」

多恵「ふーん、そっか」

 

多恵「そういえば、今日来る他の男子ってイケメン?」

亮太「うーん、まあ俺よりはイケメンかな」

多恵「やけに謙虚ではありませんか」

多恵はニヤニヤしている。

亮太「うるせーよ」

多恵「前から気になってたんだけどさぁ、亮太ってあんまり自分に
自信ない感じだよね」

亮太「そう?」

多恵「そう?って、あんた自身はどう思ってんのよ」

亮太「まあ、確かに自信みたいなものはあんまりないかもね」

多恵「ほらほら、その“かもね”っていう語尾とかがもう
自信の無さを表している感じなのよねー」

亮太「なるほど」

多恵「なるほど、じゃなくてさぁ、そんなんじゃモテないよ、
合コン前にこんなこと言うのもアレだけど」

亮太「うーん・・・」

亮太は上を向いている。

 

多恵と亮太がそんな話をしていると、英二がやってきた。

英二「よっ」

亮太「意外と早かったな」

英二「さすがに合コンには遅れないって」

多恵「あ、はじめまして」

英二「あらあら、女性を待たせてしまうとは失礼いたしました」

多恵「全然待ってないですから、気にしないでください」

英二「亮太、早く紹介しろよ」

亮太「え、だってまだ合コン始まってないじゃん」

英二「んなもん関係ねーよ、合コンは着いた瞬間から合コンなんだよ」

亮太「へいへい・・・こっちはサークル仲間の多恵で、
こっちが中学のときの同級生の英二」

多恵「よろしくお願いします」

英二「カワイイ名前だね、多恵ちゃんって呼ばせてもらっていい?」

多恵「え、あ、うん、はい」

多恵は突然のことで少しテンパっている。

英二「多恵ちゃんってもしかして合コンはじめて?」

多恵「初めてじゃないんだけど、あんまり経験はないかな」

英二「そっか、ま、俺らがリードするんで、楽しんでちょうだいな、
な、亮太」

亮太「勝手に俺を巻き込むなよ」

英二「合コンは男子が仕切る、これ常識でしょ」

 

そうこうしているうちに残りのメンバーである義経、香奈、萌が
やってきた。

義経は英二の大学の友達、香奈と萌は多恵のお稽古事の仲間だ。

英二「うーっし、じゃあ始めますかぁ!」

義経「よろしく頼むでござる」

・・・。

一瞬の沈黙のあと、義経の言葉遣いに一同大爆笑。

英二「お前、いい加減その喋り方なんとかなんねーのかよ」

英二は腹を抱えながら、必死にツッコミを入れる。

義経「仕方ないでござろう、いきなり言葉遣いは直せんでござる」

亮太「や、やめてくれ、は、腹が痛すぎる」

みんな涙が出るほど笑っている。

英二「まあ義経のお陰で場も和んだことだし、早速お酒でも
頼みましょうか」

ベルで店員を呼び、それぞれ好みのお酒をオーダー。

英二「はぁ、落ち着きましたか、みなさん」

多恵「なんとか」

香奈「う、うん、まだおかしいけど」

萌「まさかのサプライズだよー」

英二「いやー、やっぱ義経を呼んどいて正解だったな」

義経「そうでござろう、そうでござろう」

亮太「頼むからもう喋らないでくれ」

亮太の笑いはまだ止まっていない。

義経「そんなことを言われても、拙者も合コンに来たからには
喋らんワケにはいかんでござるよ」

亮太「わかった、わかったから、今だけ口を閉じてくれ」

亮太は呼吸困難寸前だった。

英二「大丈夫か、亮太」

亮太「う、うん」

亮太はややぐったりしている。

英二「じゃあ気を取り直して始めましょうか」

萌「はーい」

英二「いいノリだねー」

 

合コンは誰もが予想した通り、英二を中心にして進んでいった。

コース料理が運ばれ、1時間ほどが過ぎようとしていたとき、
定番のトイレタイムがやってきた。

女子たち3人がトイレへ行くと、男子たちも何やら話はじめる。

英二「亮太はぶっちゃけ誰狙ってんの?」

亮太「うーん、特に誰ってこともないなぁ」

義経「拙者は萌ちゃんでござる」

英二「お前には聞いてないって」

義経「冷たいこと言うなでござるよぉ」

義経は悲しい顔をしている。

英二「合コンに来て狙う相手決めてないって、そりゃないだろ」

亮太「そういうお前はどうなのさ」

英二「俺はもう多恵ちゃん一直線よ」

亮太「そっかぁ、多恵はいい子だよ」

英二「んなこたぁお前に言われなくても分かってるんだよ」

亮太「そうだな」

 

英二「お前ってさぁ、自分のことを何だと思ってる?」

亮太「何って・・・自分は自分でしょ」

英二「俺は自分のことを最高の商品だと思ってる」

亮太「商品?」

英二「お前には言ってなかったけど、俺最近ビジネスのことを
勉強し始めて、そのビジネスの師匠から“自分のことを最高の
商品だと思え”って教えられたんだよ」

亮太「それってどういうこと?」

英二「例えばお前に好きな人ができたとして、その好きな子に
告白するっていうのは、その子に対して自分という商品を
プレゼントすることと同じなんだよ」

英二「だから自分を磨くことを疎かにしてモテたいとか
言っているヤツは、自分の好きな人に対してめちゃくちゃ
失礼なことをしていることになる」

亮太「何が言いたいの?」

英二「鈍いヤツだなぁ、お前もそれと同じだって言ってるんだよ」

英二「お前は別にモテたい様子はないけど、それでも合コンに
来る女の子たちは何かしら期待してるんだよ」

英二「その相手の気持ちも考えずに、自分は巻き込まれただけだ、
みたいな態度を取るのは相手に対して失礼だろ」

英二「今のお前みたいな商品をプレゼントされたら、誰だって
嫌な気持ちになるし、何よりその場全体の雰囲気が悪くなる」

英二「理由はなんであれ、ここに来ると決めたのはお前なんだから、
来た以上は精一杯やれよ」

亮太「・・・俺はお前みたいにはなれないよ」

英二「なれないじゃなくて、やるんだよ、それが礼儀だ」

義経「そうでござるよ、それが礼儀でござる、亮太殿」

女子たちがトイレから帰ってくる。

英二「んじゃまた続きを始めましょうか」

萌「はーい」

 

この日、亮太は結局最後まで同じ調子だった。

英二と義経が盛り上げてくれたお陰で、なんとか雰囲気は
悪くならずに済んだが、やはり亮太の周りの空気は重かった。

人間、そう簡単に変われるものではない。

帰りに英二が話しかける。

英二「俺、今度多恵ちゃんと遊びに行くことになったから」

亮太「そうか、おめでとう」

英二「おめでとう、じゃなくて、お前も来るんだよ」

亮太「え、なんでそうなるんだよ」

英二「ダブルデートってヤツだ」

亮太「俺には相手がいないんだからデートになんないだろ」

英二「だったらそれまでに相手を作ればいいだろ」

英二「任せとけって、またすぐに俺が合コン組んでやるから」

英二「ただし、それまでみっちり俺と修行してもらうからな」

亮太「勝手に決めるなよ」

英二「お前、ホントに今のままでいいのか?そんなんで楽しい人生を
送れると思うか?」

亮太「お前には関係ないだろ」

英二「関係あるんだなー、これが」

英二「友達がつまらない人生をすごしてるのに、自分だけ楽しい人生を
すごすなんてできるワケねぇだろうが」

英二「俺は自分も周りもハッピーじゃないと嫌なの!」

亮太「勝手なヤツだなぁ」

亮太は呆れつつも笑っている。

英二「悪いか?」

亮太「それがお前のいいところだよ」

つづく。

 

【教訓】

どんな相手と接するときでも、自分は「自分という商品である」
ということを意識してみてください。

そうすれば、自分を磨かない、自分の価値を高めない、という
選択肢は絶対に出てこないと思います。

友達であれ、恋人であれ、自分の子供であれ、営業相手であれ、
彼らと接することは彼らに自分という商品をプレゼントすることを
意味します。

誰だって下らない商品よりも、素晴らしい商品をくれる人と
接したいと思うはずです。

それはあなたも然りでしょう。

ビジネスでも恋愛でもやることは同じです。

自分(や商品)の価値を高めること。

相手に相応しい自分であろうとすること。

それができたときにはじめて、物事は上手く回り始めます。

自分から、自分の苦手から逃げてはいけません。

それは世界に対して、とても失礼なことなのです。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

ブログで公開しているのは全メルマガ記事の3分の1程度です。

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