今回は問題を具体的に把握する際の注意点です。

これもまた前回の続きでショートストーリーにしてみましょう。

 

友香「あんた男なんだから、シャキッとしなさいよ」

健太「しょーがないだろ、自分でも『ついていける』が
なんなのかよく分からないんだから」

明日香「要するに健太は、自分の問題を把握できたいた
『つもり』になってたのね」

健太「そんなことは」

友香「そこは素直に認めなさいよ、男でしょ!」

健太「さっきから男男うるせーよ」

明日香「でも『つもり』だったんでしょ?」

健太「・・・あぁ、そうだよ」

友香「あんたこれからどうすんのよ」

健太「それを相談してるんだろが!」

明日香「『つもり』が自覚できたんだから、その『つもり』を
解消するのが今からやるべきことじゃないかな」

健太「どうやって?」

明日香「うーん、それはやっぱり、なんで政治の話に
ついていけるようになりたいのかを考えることだと思うよ」

明日香「そこが固まってないから『ついていける』って言葉が
曖昧になってたんだと思うし」

友香「明日香すごーい!」

明日香「えへへ、そんなことないよ」

健太「そうかぁ」

友香「で、健太はなんで政治の話についていけるように
なりたいのよ」

健太「そりゃ上司と会話が」

明日香「じゃあなんで政治の話じゃないとダメなの?
別に他の話でも会話が成り立てば問題ないんじゃないの?」

健太「そう言われれば・・・たしかに」

明日香「なんか私は健太が上司の目ばっかり気にしてるように
見えるんだけど」

友香「ホントホント、ちっとも男らしくない」

健太「・・・はぁ」

友香「あれ?うるせーよ!って言わないの?」

健太「いや、今自覚したんだよ、俺は政治に興味も関心もないのに
上司に気に入られるために無理に政治の話についていこうとしてた
だけだ、って」

明日香「キツイことを言うようだけど、私もそうだと思う」

明日香「でもそれが分かったなら、もういちいち上司の話に
ついていく必要がないんだから、問題は解決したんじゃない?」

健太「そうだな」

健太「俺は自分で勝手に問題を作って、勝手に悩んでただけだ、
ってことか」

友香「バカだから仕方ないね」

健太「お前には言われたくねーよ」

 

健太の例で分かるとおり、われわれが一番陥りがちなのは、
問題を把握した「つもり」ってヤツです。

この「つもり」を見つけるために有効なのは、
僕が知るかぎり「なぜ?」と問う方法しかありません。

なぜ政治の話についていけるようになりたいのか。

それを問うということです。

これを真剣に突き詰めていくと、途中で「あれ?」と
思うことが出てきます(現実はここで話しているほど
都合よくは出てこないけど)。

自分は周りの目ばかり気にして、政治に関心がないにも
かかわらず政治のことを無理矢理学ぼうとしていたんじゃ
ないか、と。

すると、理想として挙げていた「政治の話についていける」
ということ自体が、実は理想ではなかった、ということに
気付くワケです。

それはただ周りの目を気にして、自分が勝手に作り上げた
架空の理想であって、本当は政治のことなんてぜんぜん
どうでもよかったんだ、と。

そうやって当初の理想や問いが誤りだったことに気付ける
ということです。

 

ここまで話しておきながらアレなんですが、こんな面倒なことは
必要に迫られない限り誰もやらないと思います。

もう一度言いましょう。

「必要に迫られない限り」誰もこんなことはやらない。

明日香のような優秀なコンサルが周りにいれば話は別ですが、
普通は誰もあんな的確な指摘はできませんから、「つもり」を
「つもり」だと自覚しないまま問題を解決しようとすることに
なります。

いちいち「なぜ政治の話についていけなきゃダメなのか?」
なんて考える人はほぼいないし、そういう発想もありません。

われわれが「なぜ?」を考えるのは、何かが行き詰って、
そう問わざるを得なくなってからです。

健太の場合であれば、上司と会話は成り立つようになったけど
ぜんぜん楽しくないとか、どんだけ新聞を読んでもその内容が
身になっている感じがしないとか、そういう状況になってから
「なぜ?」と問うことになります。

表面上の問題は解決してるけど、本質的なところはポカンと
穴が空いている。

こういう違和感に自分で気付ければまだ救いようも
あるんですが、現実はやっぱりそんなに甘いものではなく、
大半の人はそれで上手くいっていると思い込んでドツボに
ハマっていくワケです。

 

行き詰るというのは、これまで解決すべきだと思っていた問題が
本当の問題ではなかった(ことに気付く)ということです。

「こんなに頑張ってるのに、なんでダメなんだ!」

こういう行き詰まりを経験する前に問いの誤りに気付くことは、
理屈上は可能ですが、現実には難しいと思います。

だってはじめる前から、この問いは本当に正しい問いなのか?
なんて考えるのは面倒臭いし、結局その道を進んでみないと
何が正しいかなんて分からないんだから。

経験を積めば「つもり」を回避できる精度は上がりますが、
それでもやっぱり難しいことには変わりありません。

要するに、最初は把握した問題が間違っていることを覚悟の上で、
その問題を解決するためにがんばってみるしかないのです。

そしてどこかで行き詰ったら、われわれは意識するまでもなく
「なぜ?」と考えることになります。

そうやってわれわれは一歩ずつ進んでいくことしか
できないのです。

 

自分が今把握できた問題は、叩き台のようなものだと思って
おきましょう。

その問題は99%間違い(未熟)です。

でもその間違いは避けてはいけない、それを踏まえなければ
本当の問題にはたどり着けない、必要な間違いなのです。

仮に間違いじゃなかったとしたら、その人はそれ以前に
必要なだけの間違いを既に経験してきたのだと思います。

たまに「起業後半年で1億円稼いだ」みたいな人がいますが、
彼らは大体そういう人です。

われわれには見えないだけで、彼らも間違う道をちゃんと(?)
通っています。

彼らをうらやむのは、それこそ間違いだと言えるでしょう。

 

大事なのは、正解だろうが間違いだろうが、行き詰まりを
感じるところまで突き進む、限界を感じるまで集中して
行動するということです。

「それができないから困ってるんじゃないか!」というのも
ちゃんと分かっていますので、その辺のこともあとの記事で
話します。

ただ今は、把握できた(つもりの)問題の解決策を見つけ、
それをとことん実践することが、「つもり」から自力で
脱するための唯一の道だということを理解しておいてください。

次回は、解決策を見つけるには何をすればいいのか、
どういう点に注意して解決策を実践すればその努力は
報われるのか、という話をしていきます。

今回の記事もサラッと読み流しちゃダメですよ。

ありがとうございました。