武井壮が最近までやっていた「シューカツの王」という
ラジオ番組があります。

この番組のゲストで、ラグビー日本代表の田中史郎選手が
呼ばれて来たことがあったのですが、そこで以下のような
やりとりがありました。

武「これまでの日本代表に一番欠けていたのは何ですか?」

田「コミュニケーションですね」

武「なるほどぉ、そこに対して田中選手はどういうことを
やっていったんですか?」

田「みんなが言わないことを言う、ってことですね」

田中選手いわく、これまでのラグビー日本代表は、
練習でケガをしそうになるとお互いが100%の力を
出さないようにする(手を抜く)、という暗黙の了解の
ようなものがあったそうです。

そして選手たちはミーティングでもそのことに一切触れず、
なぁなぁになっていた。

そのみんなが触れてほしくないところをグサグサ指摘する
嫌われ役を、田中選手はみずから買って出たワケです。

チームメイトからは「史郎の言うことは言われたときには
腹が立つけど、後から考えれば全部正しかった」と言われた、
と語っていました。

 

田中選手の話はラグビーに限ったことではなく、
われわれ日本人の欠点を象徴していると思います。

一言で言うと、それが仮に言うべきことであっても、
言い難いことは言わずに済ませてしまう、ということです。

その場の空気や相手を傷つけないことを優先するがゆえに、
言うべきことまで黙ってしまう。

これってよくありますよね。

会社でのミーティング中に「このミーティングは無意味だ」
みたいな発言をすれば、普通その場の空気は凍りつきます。

自己満足ミーティングを主催している役員から白い目で
見られることもあるでしょう。

しかし本当にその会社のことを思うのなら、言わなければ
なりません。

ここで重要なのは「本当にその会社のことを思うのなら」
という部分です。

これは言い換えれば、自分が所属している会社のことを
さほど気に留めていないのであれば、別に無理してまで
言う必要はない、ということです。

そして実際に、ほとんどの人はそうしていると思います。

要するに、われわれが言い難いことを言わずに済まして
しまうのは、会社や相手やコミュニティのことを実は
「どうでもいい」と思っているからであり、そんなものよりも
自分の方が何倍も大事だからなのです。

 

もしあなたが本気で僕や僕のコミュニティのことを
思ってくれているとしたら、僕が傷ついたり怒ったり
するようなことでも、勇気を出して言ってくれるはずです。

実際、以前のアンケートではそういうコメントをいくつか
もらいました。

もらったときは傷ついたり腹が立ったりするんだけども、
冷静になりさえすれば、それらは正直な気持ちであり、
僕のために言ってくれたんだと分かります。

だってそうですよね。

自分が嫌われるかもしれないことを、言わなければそれで
済んだことを、敢えてメールで送ってくれてるんだから。

以前紹介したニットクリエイターの栂瀬さんがメールを
くれるときも、結構グサッと刺さるようなことが
書いてあったりします(滅多にメールは来ないけど)。

でもそれが愛なんですよ。

愛があるから、相手のことを第一に思っているから、
自分が嫌われるようなことでも平気で言えるのです。

親が子を叱るのだって、そうですよね?

「子供に嫌われたくない」と思って子供を叱れない親って、
どう思いますか?

嫌われようが恨まれようが、子供のためなら言うべきことは
言わなきゃダメだし、それが子を愛するってことでしょ。

言うべきことを言えない人というのは、裏を返せば
「誰も愛せない人」でもあるのです。

 

日本代表チームを愛せない日本代表が勝てるワケないですよね?

家族を愛せない子や親が幸せになれるワケないですよね?

会社を愛せない役員が、会社を愛せない社員ばかり集めて、
いい会社になるワケないですよね?

日本を愛せない日本人が、いい国を作れるワケがないですよね?

そういうことです。

言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズンですよ、
マジで。

日本人が調和を重んじるというのは、もはや単なる言い訳です。

それは調和を重んじてるんじゃなくて、(調和へ至るための)
一時的な不調和というリスクを避けているだけですから。

エリアーデが言ってましたよ。

「世界はこれまで続いてきたというただそれだけの理由で
干からびて、新鮮さ、純粋さ、本来の創造力を失う。
誰も世界を<修復>することはできない。
再創造するためには滅ぼさなければならないのである」

って。

 

言うべきことを、言い難いことを言うとは、それまであった
何かを破壊し、滅ぼすということです。

そこから「世界」の再創造が始まります。

愛するということは本来、(シュンペーターじゃないけど)
創造的破壊とも言うべき創造的な営みなのです。

愛こそすべて。

この言葉は案外、真理なのかもしれません。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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