どこの神社にも、手や口を清めるための手水舎というものが
設置されています。

そこには決まって水をすくうための柄杓が置かれていますが、
柄杓のタイプは神社によって様々です。

よく見かけるのは金属製のものと竹製のものですね。

僕の言う竹製のものというのはコレみたいなヤツです。

うちの近くにある神社にもこれと同じような竹製の柄杓が
置いてあるのですが、最近それを見ていて気付いたことが
あります。

それは、単なる作業として竹を切っている人には、
こんな柄杓は作れないだろう、ということです。

竹製の柄杓には他にも種類があって、コレの方がどちらかというと
メジャーです。

見てお分かりのように、後者の柄杓はかなり人為的な加工が
されています。

一方で前者は、もとの竹をただその形に切り抜いただけで、
見た目にも自然です。

どちらも竹という同じ素材を用いて作られた柄杓ではありますが、
発想としては竹の形をそのまま活かし、加工を最小限にしている
という点で、やはり前者の方が優れていると言えるでしょう。

 

今の話からわれわれが学ぶべきは、竹と向き合う態度、つまり、
世界と向き合う態度によって、生まれてくるものが大きく異なる
ということです。

先程の前者の柄杓を最初に思いついた人は、来る日も来る日も

「この美しい竹をただ切ってしまうのはあまりにもったいない」

「なんとかこの美しさをそのまま活かせないものか」

なんてことを考えていたのではないでしょうか。

その人の具体的な気持ちまでは分かりませんが、少なくとも
それぐらいの情熱がなければ、ああいった自然な美しい形の
柄杓は思いつかないと思うのです。

この話をわれわれの生活に当てはめるならば、例えば電車の
吊り広告を見て、

「この広告の凡庸なメッセージでは、効果が弱すぎる」

「なんとかこの広告の効果を最大化するメッセージや方法は
ないものだろうか」

という風に考えるということです。

そうやって考えながら生きている人は、いつかきっと
斬新な素晴らしいアイデアを思いつくと思いますし、
実際にデキる人たちは、みんなそんなことを考えながら
生きています。

彼らにとって日常はアイデアの宝庫であり、彼らには凡人に
見えないものがたくさん見えているのです。

今のはたまたま吊り広告を例にしましたが、他にも道路や電柱、
歩道、自転車、手すり、街並み、落ち葉などなど、何に対しても
「どうすればもっと活かせるのか」「どうすればもっと効果を
最大化できるのか」という視点で見ていけば、いくらでも
有益な情報は引き出せます。

だから実力のある人は(凡人には絶対に得られない有益な情報を
得られるという意味で)運がいいのです。

 

この話から分かるのは、情報は単に「得る」ものではなく、
自分から「引き出す」ものだということです。

その引き出しの取っ手にあたるのが「問い」です。

どれだけたくさんの引き出しも、取っ手がなければ
引っ張り出すことはできません。

日常というのは、情報の詰まった巨大なタンスだと思って
ください。

多くの人はそのタンスを眺めるだけで、そこに触れようとも
しません。

それでもたまにやる気を出して触れることもあるのですが、
そこには取っ手がないために、中身を見ずに終わってしまう
ワケです。

しかし賢い人たちは、ちゃんと取っ手をつけて引き出しを
開けます。

もちろん、その引き出しには必ずしも有益な情報が入っている
ワケではありませんが、少なくとも引き出しを開けさえすれば、
そこに何が入っていて、それが今の自分に使える情報か否か
ということは分かります。

仮に今の自分には使えない情報が入っていたとしても、
それをストックしておけば、後からどこかで使えるかも
しれません。

こうして人々の情報格差はひらいていくワケです。

 

日常に対して、どれだけ多くの問いを持つことができるか。

これが今後のわれわれの人生を左右すると言っても過言では
ありません。

多くの取っ手を持っていて、多くの引き出しを開けられる人ほど、
これからの立場は有利になっていきます。

地味で遠回りに思えるかもしれませんが、王道というのは
いつだってそういうものです。

何の派手さもなければ、強烈なインパクトもない。

効果が目に見えるのも、かなり時間が経ってからになります。

けれども、やっぱり最後に残るのは王道なんですよ。

急いては事を仕損じる。

急がば回れ。

そういう昔の言葉がたくさん残っているのは、単なる偶然では
ないと思います。

先を急ぎたいならば、(常識的に考えて)遠回りに思えるような
道を選んでください。

凡人が選びそうな道の逆を選んでください。

それこそが、われわれの進むべき道であり、王道です。

よいお年を。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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