われわれは多かれ少なかれ、不安を抱えながら生きています。

そのほとんどは漠然とした不安であり、何が不安なのかを
はっきり説明できないこともしばしばです。

例えばある人が「起業に失敗するかもしれない」という不安を抱えて
相談にやってきたとしましょう。

起業しなきゃ先がないのは分かってるけど、失敗したときのことを
考えると恐くて行動できないんです。

こういう人は今時わりと多いと思います。

あなたなら彼のこの相談に対してどう答えるでしょうか?

僕なら彼にこう質問します。

「なんでそれを不安に思うんですか?」

これに答えられる人はほとんどいないはずです。

なぜなら、不安で行動を起こせなくなっている原因は「そこ」
だからです。

「そこ」とは、自分は何が不安なのか、なぜ不安なのか、
というところ。

ここを突きつめないから、不安が恐れに繋がってしまうのです。

 

一言に起業に失敗するかもしれないと言っても、そう思う理由は
人によって様々です。

アイデアに自信がないのかもしれないし、業界に関する知識が
乏しいのかもしれないし、単純に未知の世界に飛び込むのが
恐いだけなのかもしれない。

こんな感じで各々の事情は違うワケです。

仮に不安に思う理由が「アイデアに自信がない」だったとしましょう。

この場合、当たり前ですが、自信のあるアイデアを出せれば不安は
無くなります。

ということは、どうすれば不安が無くなるかが明確なワケですから、
不安の恐怖に襲われることはありません。

不安なうちは、ただ新しいアイデアを考え続ければいいんです。

そして不安が無くなったところで起業する。

これですべて解決です(笑)

さっき挙げた3つ全部が不安だったとしたら、それも1つずつ
考えていけばいいだけの話です。

自信のあるアイデアを考えて、業界の知識を蓄えて、新しいことに
チャレンジする勇気を鍛える。

そしたら不安はなくなりますよね?

厳密には不安がゼロになることは有り得ないのですが、多くの人は
1の不安を100ぐらいに感じています。

その原因は不安を曖昧なまま放置しているからです。

起業に失敗したらどうしよう。

就職できなかったらどうしよう。

こういう漠然とした不安は恐怖しか生みません。

これが1の不安を100に感じてしまう理由です。

僕もこんな仕事をしていますから、まれに何とも言えない不安に
襲われることがあります。

けれども、それはいつも漠然としていて何の根拠もない不安なのです。

「仕事が上手くいかなくなって、食べていけなくなるかもしれない」

この手の不安は、想像の産物でしかありません。

そもそも仕事が上手くいかなくなると考えているなら、その原因を
突き詰めて、そうなる前に対処すればいいだけの話です。

やるべきことをやっていれば、恐がるようなことは何もありません。

つまり恐がるということは、その不安を突き詰めず、漠然としたまま
放置しているという意味で、自分が怠慢なだけなのです。

 

不安とは、いつも未来に対する不安です。

それは実際にはまだ起こっていないから不安になることができるのだ
ということを理解してください。

要するに、不安に思った時点では、まだなんとかなる可能性がある
ということです。

これは人間の機能として非常に重要なことで、われわれはそれが
起こる前に気付くことができます。

地震が起こる「かもしれない」。

就職できない「かもしれない」。

そういう可能性を考えることができる。

ということは、われわれは不安を感じることによって、最悪の事態に
備えておくことが出来るということです。

この重要さに気付いていない人があまりにも多い気がします。

われわれは「不安に襲われる」という表現を使いますが、別に不安は
われわれを襲ったりしません。

そう感じるのは、われわれが不安を漠然とした不安のまま放置している
からであって、本質的には不安は可能性でしかないのです。

この可能性を生かすか殺すかは、われわれの態度次第です。

不安と向き合って突き詰めていけば、それはわれわれの未来を救う
チャンスにもなるし、放置しておけば恐怖となって襲ってくる。

この違いが運命を分けます。

 

不安を突き詰めるのは難しいことではありません。

自分は何を恐れているのか。

なぜ自分は不安なのか。

これらの問いを自分に投げかけるだけです。

これを明確になったと思える、つまり具体的な対策を立てられるまで
続けてください。

そして(これも非常に重要なのですが)一連の作業に伴って出てきた
不安は紙に書いてください。

このたった1つの手間で、効果は大きく変わります。

不安が明確になれば、あとはそれぞれの対策を立てるだけです。

不安を突き詰める過程で、就職に対する不安が、お金に対する不安だ
ということに気付くこともあるかもしれません。

さらに突き詰めれば、お金に対する不安が、自分の能力不足に対する
不安だということに気付くこともあるでしょう。

そこまで分かったなら、やるべきことは自然と見えてきます。

やるべきことが見え、やるべきことをやり始めれば、不安は襲って
きたりしません。

ここから先は時間が解決してくれるはずです。

 

余談ですが、書くことは、書くことを避けている人が思っている
千倍ぐらい重要です。

気に入った言葉をメモすること、閃いたアイデアを書き留めること、
自分の思っていることを書き出すこと、これらはすべて非常に大きな
恩恵をもたらしてくれます。

その恩恵が何かは、やれば分かります。

サボるのは自由ですが、その怠惰な性質が凡人の特徴だということは
胆に銘じておきましょう。

 

不安というのは、厳密に言えばマイナスの可能性に対する実感です。

例えば「会社が倒産するかもしれない」というマイナスの可能性は
周りがどんな状況だろうと潜在的にあるワケですが、それが必ずしも
不安に感じられているかというと、そうとは限りません。

誰だって会社が倒産する可能性がゼロにはならないことぐらいは
「理解」できると思います。

けれども、その可能性を不安として「実感」しているかというと
話は別です。

当たり前ですが、業績が上がり続けている会社で働いていて、
「倒産するかもしれない」という不安を実感することはまず
ありません。

説明されれば頭では理解できるはずですが、

「言いたいことは分かるけど、こんなに業績の上がってる会社が
倒産するなんて考えられないよ」

という感じになるはずです。

つまり、そのマイナスの可能性が現実に起こるとは思えない、
すなわちその可能性を不安として実感できないのです。

われわれだって

「明日死ぬかもしれないんだから、今を懸命に生きろ」

と言われても、ピンとこないですよね?

言ってることはよく分かるんだけど、ぜんぜん実感が湧かない。

だからわれわれは明日死んでも後悔しないように生きようという
気持ちにならないし、そういう行動も起こしません。

そうやってわれわれは、のたれ死んでいくワケです(苦笑)

 

実感というのは、自分がそれと関わっているという意識の強さに
左右されます。

会社の倒産について言えば、どれだけ業績が上がっていたとしても
経営者なら常に倒産の不安を抱えているはずです。

なぜなら、経営者は自分と会社が関わっているという意識が社員に
比べて格段に強いからです。

社員は「会社で働いている」という意識であることがほとんどですが、
経営者は「会社を動かしている」という意識を持っています。

事実としては社員も経営者も同じぐらい会社に関わっていたとしても、
各々の意識がまったく違うワケです。

だからファーストリテーリング(ユニクロ)の柳井さんは

「経営者の意識を持って働け」

という風に社員に教育していますよね?

そうじゃないとマイナスの可能性(不安)を実感できないからです。

実感できなければ、それを突き詰めて対策を考えることもできない
ワケですから、最悪の場合、そのまま最悪なことになります。

同様に、人生におけるマイナスの可能性をまったく実感できなければ、
その人の人生は(実際には)最悪なものになるでしょう。

「バカは幸せ」とは、まさにこのような状態です。

何も考えていなければ、何の不安も実感せずに生きることができる。

そういう意味で彼らは幸せなのです。

 

日本への不安、会社への不安、自分への不安。

それをどの程度実感できるかは、その人がどこまで関わりを
強く意識しているかによります。

日本に関わっている、自分が日本を担う一人であるという意識で
生きている人は、今の日本に対して不安を実感しているはずです。

だからそれに対して行動を起こさざるを得ない。

それは2ちゃんねるやツイッターで「日本オワタ\(^0^)/」
などと言っている人とはまったく次元の違う不安です。

どうしたらその「関わる意識」が生まれてくるのかというのは、
非常に深くて長い話になってしまうので割愛しますが、簡単に言えば、
どこまで自分について突き詰めて考えているかに関係します。

もう少し言うと、自分は周りによって生かされている、ということを
心の底から思えたときに、愛国心や郷土愛や愛社精神のようなものが
生まれてくるということです。

今回話した、不安を突き詰める、というのも結局は自分について
深く掘りさげるということです。

(自分の)不安の根源は何なのか。

それを明確にして、その傷口が化膿する前に、ちゃんと絆創膏を
貼りましょう、と。

そんな話だったワケですが、それはつまり自分を知れば大抵のことは
解決するってことですよ。

だって、すべては自分の認識が決めてるんだから。

良いことも、悪いことも、楽しいことも、不安なことも、
それを決めているのは自分です。

イライラしたり、モヤモヤしたり、そういうのも自分が勝手に
起こしていることです。

だったら、何よりも、その自分をなんとかしましょうよ。

自分のことなら、なんとでもなるんですから。

 

もっと自分に興味を持ちましょう。

自分の手、足、顔、視線、思考、態度に興味を持ちましょう。

それが自分を変える第一歩です。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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