アベノミクスを推し進めるべく、日銀は2013年4月から
量的・質的金融緩和(以下QE)というのを行っています。

つい10日ほど前にも日銀で会合が行われ、今後もQEを
継続することが決定しました。

この事実を知っている人はそれほど多くないと思うし、
この事実が自分の生活にどう影響するのかを理解している人は
極少数だと思います。

しかし今行われているQEは、われわれが最も絶望すべきことの
1つです。

んな大袈裟な、と思うかもしれませんが、その真実の一部を
今からお見せしますので、是非じっくり、できれば15分程度は
何の邪魔も入らないような空間を用意して読んでください。

間違っても、スマホでサラッと読み流して済ますようなことは
しないように。

まずはQEの説明から始めます。

 

QEとは、日銀が国債や株などの金融商品を買いまくることで
市場にお金を流すことです。

普通、日本の国債は主に民間の銀行が低リスクの投資先として
買うものなのですが(これによる銀行の儲けが金利になる)、
日銀はそれらの銀行が持っている国債を強引に買い取ることで、
銀行に余剰資金が溢れるようにして、銀行がその余剰分を
市場に貸し付けることを狙っています(というか日銀が
「貸し渋りすんじゃねぇ」と命令します)。

もうちょっと丁寧に説明すると、銀行は本当は国債を
持っておいて低リスクに利益を膨らませていきたいんですが、
それを日銀に買い取られてしまうと、銀行には減りもしないけど
増えもしないただの現金が大量に溢れることになります。

当然ながら、その現金をそのまま持っているだけでは
銀行は一円も儲かりません。

銀行がその現金を増やすためには日本国債よりもリスクの高い
外国債や株を買って運用するか、誰かに貸し付けるしかないので、
そういう状況を意図的に作り出して、銀行から市場にお金が
流れるようするのがQEだということです。

市場にお金がたくさん出回れば、お金の価値は下がります。

これも感覚的には分かり難いかもしれませんが、
例えば日本人全員の所得がいきなり2倍になったとしたら、
今まで1本100円で売られていた大根が200円になる
というのは、なんとなく分かるでしょうか?

所得が2倍になったということは、物凄く乱暴に言うと
人件費が2倍になったということです。

1本の大根を作る手間や労力は今までと変わらないのに、
人件費だけが2倍になったワケですから、そりゃ大根の値段を
上げないワケにはいかないですよね?

これがQEによってお金の価値が下がる理屈です。

その2倍になったわれわれの所得が、われわれ全員に均等に
行き渡っていれば特に問題はないのですが、それが一部の人に
偏っている状態が今の日本です。

これだけでも凄く危険なことだというのが分かると思います。

 

安倍総理の言う「デフレ脱却」とは、QEによってデフレを
インフレに変える、つまり、お金の価値を下げて相対的に
物の価値を上げるということです。

なぜそんなことをするのか。

それは彼がインフレを起こせば景気が回復すると思っている
からです。

ポイントは「彼が思っている」というところで、
デフレから脱却することと景気が回復することとの間には
実は相関関係がありません。

むしろインフレやデフレは景気とは相関関係がないという
データがあるぐらいです。

デフレになると、本当に不況が来るのか(東洋経済)

このデータが正しいとすれば、デフレを脱却できたとしても、
われわれの生活が良くなるとはかぎらないことになります。

もちろん絶対に悪くなるとも言えないワケですが、少なくとも
彼の言う「明るい未来」になる保証はどこにもない。

この辺からまた胡散臭さがただよってくるワケです。

 

ここで前々回の『政治の裏側、ちょっとだけ見せます』と
同じように、政治的な疑いを挟んでみましょう。

もし安倍政権の人たち(日銀の黒田総裁を含む)がこのことを
知っていて、それでも敢えてQEを推し進めていたとしたら、
その目的は何だと思いますか?

景気が回復しないと分かっていてもQEをするということは、
そこには別の意図があると考えるのが自然です。

もしそんな意図があったとしたら、それは一体何なのでしょう?

 

最初に考えるべきは、QEで得をするのは誰か、ということです。

一般によく言われているのは、国内から国外へ商品を輸出している
企業(主に大企業)ですね。

消費税増税のときも「輸出戻し税」なるもので彼らが得をする
ということが結構言われていました。

では他はどうでしょう?

QEが何を買いまくると言っていたかを思い出してください。

そう、金融商品ですね。

知っている人は知っているように、今の日本の株高は日銀が株
(ETFという投資信託)を買いまくったことによるものです。

今後も日銀はETFを買い足すようですし、その「日銀は今後も
買い足すらしい」という期待感が今の株価を支えています。

つまりQEによって得をするのは大企業だけではなく、
大量の金融商品を保有している人も含まれるということです。

想像すれば分かるように、大量に金融商品を保有している人とは、
富裕層の人です。

われわれのような庶民は普通、そんなものは持っていません。

仮に持っていたとしても、ごくごく小さな額です。

10株しか持っていない人と1万株持っている人とでは
100円の値上がりでも利益が千倍違います。

もはや言うまでもないでしょうが、QEとは、貧富の格差を
拡大させる政策でもあるのです。

 

ただ今挙げた以外にも、まだ他に得をする人たちがいます。

それがアメリカです。

QEによってお金の価値が下がるということを先に言いましたが、
それは厳密には円の価値が下がることを意味します。

円を刷りまくっているワケですから、円が薄まっていくのは
当然ですよね。

通常、円安誘導は他国の商品を売れ難く(割高)にするため、
国際的にはあまり歓迎されないのですが、アメリカは実は
QEを歓迎しています。

というのは、日本の生保やゆうちょや民間銀行がアメリカの
金融商品を買ってくれるからです。

今までは生保や銀行が国債を買って運用していたのですが、
日銀がQEで国債を買い占めてしまったことによって、
生保や銀行はそれらの低リスク商品が買えなくなりました。

だから仕方なく株や外国債などの高リスクな商品に
手を出さざるを得なくなってしまっている、ということです。

おまけに今の日銀は日本の株まで買い占めにかかっていますから、
これから生保や銀行は益々高リスクな海外の金融商品しか買えなく
なっていくことが予想されます。

だったらお金を貸し出す方で儲ければいいじゃんと思うかも
しれませんが、今はお金を借てくれる人がいないのです。

史上最低の低金利なのに誰も借りてくれない。

お金の貸し借りは借りたい人がいないと成り立たないですから、
そういう需要がない以上、どれだけ大量にお金を持っていても
何の利益にもなりません。

こうして生保や銀行はQEによってどんどん高リスクな方向に、
破綻する方向に向かっているのです。

 

最後に日銀がQEをやめたらどうなるかを考えておきましょう。

もう分かると思いますが、今そんなことをしたら世界、
特に日本とアメリカの金融経済は破綻します。

先程言ったように、今の日本の株価を支えているのは
「日銀は今後も買い足すらしい」という期待感ですから、
QEをやめるということは、その期待感がゼロになる
ということです。

そりゃヤバイことになるに決まってますよね。

しかし今のままQEを続けても、貧富の格差は広がり続け、
生保や銀行のリスクも増え続けます。

加えて円安傾向はどんどん進むし、物価だけが無駄に高く
なっていく。

進んでも地獄、止まっても地獄。

これがわれわれが今置かれているまさに「絶望的」と言うべき
現実なのです。

 

前々から何度も言っているように、そう遠くはない未来に
日本の財政破綻・金融破綻は起こります。

それはここまで説明してきたことだけを見ても明らかです。

そうなる前に何をしておくべきか。

よく考えながら生きてください。

日本を、未来の世代を守りたいのなら、ここまでを踏まえて
活動していきましょう。

絶望を見ようとしない人間に、明るい未来などありません。

ありがとうございました。

 

※この記事はメルマガ『脱凡人のすすめ中級』からの転載です。

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