今回も引き続き、科学の話をしていきます。

とは言っても内容は前回のような堅い話ではなく、
比較的馴染み易いであろう「ノウハウ」について。

ここで言う「ノウハウ」とは、経験によって得た知識や知恵、
及びテクニックを含みます。

平たく言えば、ビジネス書に書かれていること全部です。

僕のビジネス書嫌いはもう有名(?)な話だと思いますが、
今回も追い打ちをかけるようにビジネス書の欠点をグサグサと
突き刺していこうかな、と。

そんな風に思っています。

いや、まあ、別にビジネス書をいじめるのが
目的じゃないんですけどね。

時間があれば読んでみて下さい。

 

まずは軽く復習から。

前回の話を一言でまとめると

科学とは自然と一致することのない非現実の世界であり
要素還元主義によって作られた科学は現実に当てはめると
必ず歪みが出来る、つまり科学は(現実世界では)
絶対ではない

という感じになります。

要は最後に書いた【科学に絶対はない】ということだけ
思い出してもらえたらそれでいいんですが、
今回はそれを僕らの日常に溢れる「ノウハウ」に
当てはめて考えていきます。

えー、では早速本題に入っていきますが、その前に取り敢えず
分かっておいて欲しいことが1つ。

それは、「ノウハウ」も科学の1つである、ということです。

これはこの話の大前提なので、これ以降を読み進めるのであれば
是非とも理解しておいて下さい。

例えば「なんちゃら読書法」とか「感動を生むプレゼンテクニック」とか
「ダイエットのための筋トレ講座」とか「健康チェックシート」等々。

このようなビジネス書の類には大体

「こうやれば本を正しく読めますよ」
「こうやれば良いプレゼンができますよ」
「こうやれば痩せられますよ」
「こうやれば健康になりますよ」

ということが書かれているワケですが、これは言い換えれば
「底辺」×「高さ」÷「2」=「三角形の面積」と言っているのと
同じことなんですね。

プレゼンテクニックであれば、「底辺」や「高さ」は
「プレゼン時の目線」や「声の抑揚」、「三角形の面積」は
「感動を生む」に対応します。

これは完全に「~~~をすれば・・・になる」という
(普遍的な)因果関係になってますよね?

「目線」×「声の抑揚」=「感動」 みたいに。

科学の特徴の1つに「再現性」というものがありますが、
これは「普遍的な因果関係」とも言い換えられます。

普遍的な因果関係とは、いつ誰がやっても同じことが起こる、
というようなもの。

つまり「ノウハウ」も科学なのです。

そして、さっき僕が「科学に絶対はない」と言ったことから
分かるように、科学の1つである「ノウハウ」も絶対ではない
ということなのです。

ビジネス本(ノウハウ本)を買う人が多いにも関わらず、
実際に結果を出せる人が一握りしかいないのには実は
こういった背景があります。

世間的には、結果を出せない人は行動してない人、という
見方をされがちなんですが、じゃあどうしてみんな行動
できないのか?っていう話なんですね。

僕が読んだ限りですが、ビジネス書って、そんなに無茶なことは
書いてないと思うんです。

靴を磨け、寝る前に夢を唱えろ、感謝の気持ちを忘れるな、
相手の立場で物事を考えろ・・・などなど。

どれも少し意識すれば出来そうなものばかり。

でも多くの人は挫折する、というか途中で投げ出す、
いや、忘れていきます。

だから行動しなくなって結果が出なくなるのです。

ってことは忘れないようにすればいいワケですが、
それが案外難しい。

なぜなら、科学(ノウハウ)とは結局のところ、
表面的な形式論理でしかないからです。

形式論理っていうのは、ほとんどの場合
余程意識しないかぎり記憶には残りません。

それは数学の公式を思い出してもらえれば分かると思います。

例えば、解の公式って覚えてますか?

サイン・コサイン・タンジェントの90度の値って
覚えてますか?

多分何かインパクトのある覚え方をしていない限り、
これらは忘れちゃってる思うんです。

当然僕もそんなもんは覚えてないワケですが、
数学の公式っていうのはある意味、形式論理の
究極形態です。

文脈も関係性もない形式論理のみで構成されている。

だから出る答えは必ず一義に決まっているワケです。

もう少し突っ込んだことを言えば、答えが一義に
決まっているから、公式だけを記憶しようとすると
他の何かと関連付けて思い出したりすることが
できないのです。

歴史の年号なんかもそうですね。

1825年とか1256年とか、これはテキトーに
書きましたけど、その年に何があったのかを覚えている人は
まずいないと思います。

でも鎌倉幕府成立の年号は誰でも覚えてる。

これは「いい国作ろう」っていう文脈(意味)があるから
覚えてるんです。

水兵リーベ僕の船・・・も同じ。

無機質な形式論理であっても無理矢理何かしらの意味を
持たせておけば、何かのキッカケによって、関連付けて
思い出すことができます。

逆に言えば、形式論理には文脈(意味)が含まれていないから、
普通の人には思い出したり応用したりすることができないのです。

・・・若干話がズレましたね、元に戻しましょう。

要は

ビジネス書(ノウハウ本)というのは、書いた人にとっては
【経験】という文脈が含まれているけど、読む側からしたら
それが抜け落ちた形式論理しか見えない仕組みになっているから
文脈を自分で構成出来るそれなりに優秀な人にしか役立たない
ものになっている

ということです。

そして、ビジネス書(ノウハウ本)を読んで役立てられる人
というのは、もはやその本を読む必要のないレベルの人なのです。

なんだか矛盾しているように感じるかもしれませんが、
実際そうなんだから仕方がない。

っていうか、この矛盾に気付かない人がほどんどだから
ビジネス書はいつまでも売れ続けるし、結果を出せない人は
そのままビジネス書に依存し続けるワケです。

「読書量を増やせば結果はついてくるはずだ」ってね。

さてさて。

最後になりましたが、ここで是非とも覚えておいて欲しい、
というか、思い出して欲しいことが1つだけあります。

それは

人間はみんな個別バラバラである

ってことです。

牛乳飲んで元気になる人もいれば、牛乳を飲んで
お腹を下す人もいる。

ピーナッツを食って笑顔になる人もいれば、
ピーナッツを食って死んでしまう人もいる。
(ピーナッツアレルギーの人は最悪の場合、本当に死にます)

人それぞれ、同じ本を読んでも得るモノは違う。

当たり前ですね。

もう何度言っても言い足りないと思うので言いますが
この【当たり前】こそが真実なのです。

だからこそ忘れないで欲しいし、誰も疑問に思わないことを
疑問に思うようになって欲しい。

科学は大雑把な見解としては非常に大きな役割を担いますが、
そこを妄信すると最後の最後で転ぶことになります。

初めの何歩かは科学に頼っても、後半の歩みは
自分の足でしっかり地を蹴って進まなければならない
ということを分かっておいて下さい。

ではでは。